睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まる、または止まりかける状態を繰り返す病気です。睡眠中の呼吸が止まることで、血中酸素濃度が低下し良質な睡眠を得られなくなるため、日中の眠気・集中力低下、居眠り運転による交通事故を起こす恐れがあります。また、高血圧・心疾患、糖尿病、脳卒中などのリスク増大にも関係していると言われています。
睡眠時無呼吸症候群の原因は、肥満や首が短いなど、のど・顎の骨格形状の影響で空気の通り道(気道)が塞がることにより起こる閉塞型が大半です。
イメージとしては太って方に多いですが、痩せている方にも生じていることがあります。原因としては顎が小さい、常習的なアルコール飲酒、口に対して舌が大きい、扁桃腺が大きいなどがあります。
イビキをかく、睡眠中の呼吸が止まる等の症状がございましたら、お気軽にご相談ください。

重症度はAHI(Apena Hypopnea Index)無呼吸低呼吸指数で表します。AHIとは1時間に10秒以上の無呼吸・低呼吸(呼吸が浅く・弱くなる状態)が発生する回数を示すものです。
下記のように重症度を分類します。

  • 軽症   5≦ AHI < 15
  • 中等症  15≦ AHI < 30
  • 重症   30≦ AHI

睡眠時無呼吸症候群の種類について

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)

もっとも一般的なタイプです。のどの筋肉がゆるみ、気道が閉塞することで呼吸が一時的に停止する症状です。イビキを伴うのが特徴ですが、自覚症状がないこともあるため未診断の方が多くいると考えられます。

中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)

呼吸中枢の異常により、脳に呼吸をコントロールする適切な指令が送られなくなることで呼吸の調整がうまくできず、一時的に呼吸が停止する症状です。閉塞性と違い、イビキは伴いません。

複合性睡眠時無呼吸症候群

閉塞性・中枢性の両方の要因を合わせ持つタイプです。まず中枢性の無呼吸が発生し、その後に閉塞性の無呼吸が始まりますので、閉塞性睡眠時無呼吸症候群と同様の治療を行います。

睡眠時無呼吸症候群の症状

  • 大きなイビキをかく
  • 何度も目が覚める
  • 息苦しさで目が覚める
  • 頻繁にトイレへ行く
  • のどが渇く
  • 日中の強い眠気・集中力低下・倦怠感
  • 寝汗をかく
  • 朝体が重い

睡眠時無呼吸症候群のセルフチェック

上記の症状がある方はセルフチェックをしてみてください。

質問 点数
1 しょっちゅう(常習的に)いびきをかく 1.5
2 肥満傾向がある 1.5
3 高血圧がある(高血圧の薬を飲んでいる) 1.5
4 昼間の眠気・居眠りで困ることがある。(仕事中、会議中、運転中など) 1.5
5 寝つきが悪くないが、夜間の眠りが浅いまたはしばし目が覚める
(トイレで目が覚める場合も含む)
1.0
6 いくら寝ても朝疲れが取れていない感じがする。
もしくは朝しばしば頭痛がある。
1.0
7 お酒を飲んでいない日でも、夜間寝ているときに息が止まる日がある。 3.0
合計  

合計が3点以上の方は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性が高いです。

検査の種類

簡易検査

手指や鼻に呼吸センサーを装着して気流やイビキを計測する検査となります。睡眠時無呼吸症候群の有無、重症度を判断します。AHI40以上の場合にCPAP治療の適応と判断します。

精密検査

ポリソムノグラフィー検査(PSG検査)で、簡易検査のセンサーに加えて、脳波や睡眠の質なども記録します。この検査には1泊入院する必要がございましたが、現在はご自宅でも実施することができます。簡易検査でAHI5以上40未満の睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、脳波を含めて細かく検査をするフルPSG検査という検査が推奨されています。治療適応があるか細かく検査する必要があるためです。

治療法

生活習慣の改善

肥満の方は減量、寝る前のお酒禁止、禁煙を心がけてください。
痩せることで血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の予防にも繋がります。
睡眠薬を服用されている方は、睡眠薬にはアルコールと同作用の筋弛緩効果を有するものがございますので、服用される場合は医師にご相談ください。

CPAP治療

機械とつながったマスクを就寝時に装着し、寝ている間に狭くなった気道に圧力をかけて気道が塞がれてしまうのを防ぎ、気道を確保します。
最初は違和感があることもありますが、設定やマスクの調節を行うことで徐々に慣れていく方がほとんどです。

マウスピース

軽度な患者様、何らかの理由でCPAP治療ができない方が対象です。
マウスピースを着用することで、就寝中のあごの位置を調節し気道を確保し無呼吸を防止する方法です。軽度の睡眠時無呼吸症候群には一定数の効果が期待できますが、重症では効果が見込めない可能性が高いため、重症の方にはおすすめしません。作成する場合には対応してくださる歯科をご紹介いたします。

外科手術

喉の奥の扁桃腫大やアデノイドで物理的に狭くなっている場合に手術による治療を検討します。軟口蓋の切除手術、鼻腔の拡張手術、扁桃腺摘出手術などがあります。